Q.ねこが生き返らなかった理由。
A1.自分の猫生(人生)を生きたから。
A2.彼は彼女と一緒になり、
"彼そのもの"である必要がなくなったから。
●ねこ、飼い猫の時、まったく幸せそうじゃない。
文字通り、飼われている。
おそらくかわいがられていても
生きている実感がなかったのでは。
食事も与えられたものをとる、
出かけたい場所も飼い主のチョイスで決まる。
誰とつきあうかも自分の意思で決められない。
不慮の事故で命を落とす描写も多く、
自分のくだした判断ではなく、
他者の行動により…というのがなんとも切ない。
歴代の飼い主たちはきっと彼を愛していた。
でも彼は、飼い主たちの思いを受け取らなかった。
愛そうとしなかった。
●野良猫になって、すべてを自分で決められる。
生きることによくも悪くもガチンコ勝負だったと思う。
しかも、何回もの猫生の経験があるから
強くてニューゲームだったのでしょう。
好きなものを喰らい、行きたい場所に出かける。
そして、 白い猫と出会い、一緒にいる選択をした。
彼は初めて他者と心を通わす経験をした。
自分の選択で家族・一緒にいる存在を選んだ。
常に自分に正直であれた。
エーリッヒ・フロムの『愛するということ』の
愛する技術を磨いていった。
彼は自分の魂を明け渡すくらい、
白い猫を愛したんだと思う。
ねこの魂は白い猫が旅立つとき、
一緒に持って行った。
だから、彼はもう生まれ変わらなかった。
作者は佐野洋子氏。
『おじさんのかさ』 も彼女の著作。
昔、彼女のエッセイが読まれた番組がNHKであった気がする。
なんと率直で痛快な人だろう、とその時は感じた。
彼女の「ねこ」も「おじさん」も自分にとても正直でよき。
★自分に正直であれ
★自分をとことん愛せ
★自分を存分に愛することができたら、
自分を愛するように他者を愛し尽くせ
この3点が私がこの作品から得た教訓です。